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産業用ロボットを導入すれば、これまでの業務を自動化できます。ロボットに作業もしくは生産工程を担当させることで、従来よりも作業員を減らせるようになるため、「省人化」や「省力化」にもつながります。
本記事では、「自動化」「省人化」「省力化」の単語の意味や、自動化によるメリット・デメリットを詳しく解説します。産業用ロボットの導入事例もあわせて紹介しますので、自社での導入にぜひお役立てください。
「自動化」「省人化」の意味について
産業用ロボットを導入することで、業務を自動化でき、「省人化」や「省力化」を達成できます。それぞれ言葉の意味が異なるため、比較する形で理解するとよいでしょう。
ここでは、「自動化」「省人化」「省力化」の意味を詳しく解説します。混同しやすい「少人化」にも触れていますので、あわせてご確認ください。
ロボットによる「自動化」の意味
「自動化」とは、ロボットを用いて、業務を自動で処理することです。
ロボットに何をさせるかによってカスタムが変わるため、自動化をする際は、ロボットSIer(システムインテグレーター)に相談をするのが一般的です。システム構成や費用の支払いなど、一連の作業を済ませた後、実際にロボットを導入して業務を「自動化」します。
ロボットによる「自動化」には、大きく分けて「省人化」と「省力化」の2つのメリットがあります。
「省人化」の意味
「省人化」とは、ロボットに生産工程を担当させ、作業員の数を減らすことです。例えば、これまで5人の作業員で担当していた業務があったとします。ここで産業用ロボットを導入すれば、業務を自動化できるようになり、作業員の数を1人に減らせます。これが「省人化」の典型的な例です。
省人化を達成すると、労働力不足の問題に対処できるだけでなく、「人件費削減による製造コストの低下」「人員配置の最適化」「職場環境の改善」などの効果も期待できます。
「省力化」の意味
省力化とは、人の力を省くことで、生産効率を上げるための取り組みです。人員削減にフォーカスしている省人化とは異なり、「作業員の負担を軽減する」「効率的に業務を遂行できるようにする」ことを目指します。
例えば「垂直多関節ロボット」は、人の腕と同じような形状をしており、複雑な動きができます。こうした産業用ロボットを導入すれば、従来その作業を担当していた人の業務負担を減らせるだけでなく、生産性の向上も期待できます。
少人化との違い
省人化や省力化と混同しやすい単語として、「少人化」があります。少人化とは、工程・状況に合わせて、最も少ない人数で対応することです。
省人化/省力化:ロボットによる自動化に伴って実行する取り組み
少人化:需要増減など外部環境の変化に対して実行する取り組み
例えば商品Aを1,000個生産しており、そこに10人の作業員が関わっていたとします。ここで需要の変化により、商品Aの生産数が700個になった場合、7人の作業員で対応するのが「少人化」の典型的な例です。
産業用ロボットの導入による自動化の事例・できること
産業用ロボットの導入による自動化の事例として、以下の3つを紹介します。
- レトルト食品を製造している企業が、パラレルリンクロボットを活用して、レトルトパウチの整列を自動化した事例
- エンジンメーカーが、垂直多関節ロボットやカメラなどを活用して、製品の検査を自動化した事例
- 金属製品のメーカーが、パレタイジングロボットを活用して、洗浄・トレーへの梱包を自動化した事例
事例1:自動化以前の課題
レトルト食品を製造している企業の事例です。こちらの企業では、カレーをはじめとして取り扱う商品の種類が多く、自動化を進めるのが困難」という課題を持っていました。
さらにさまざまな工場に共通する課題として、「人手不足」の問題もありました。人手不足を解消しつつ、自動化をする手段として、産業用ロボットの導入に踏み切っています。
導入した機械の種類・自動化した工程
こちらの事例では、パラレルリンクロボットを導入しています。パラレルリンクロボットは、食品を並べる作業などに適しており、レトルトパウチの取り扱いにも十分活用可能です。
自動化した工程は、トレーに並べられたレトルトパウチの位置ズレを修正し、サブコンベアに整列させる作業です。これにより、作業人数が6人から2人になるなど、労働生産性が大幅に改善されています。
事例2:自動化以前の課題
エンジンメーカーの事例です。こちらの企業では、労働力の減少もあり、「熟練工が年々減少している」「後継者が思うように育たない」といった課題を抱えていました。
熟練工が減少してしまうと、当然作業の質にも影響があり、「欠品の数が増えてしまった」などの問題があったようです。
導入した機械の種類・自動化した工程
こちらの事例では、垂直多関節ロボットと、カメラ・照明・コンピューターなどを合わせたシステムを導入しています。カメラによる「画像検査」が最大の特徴です。
自動化した工程は画像検査です。コンピューターに登録された順序で、自動で検査ができるようになっています。多品種混在検査も可能であり、効率的かつ精度の高い検査が可能になりました。
事例3:自動化以前の課題
金属製品を製造している企業の事例です。従来は、作業員が切削加工後の洗浄、トレーへの箱詰めを行っていました。「製品を洗浄機に入れる」「洗浄機から製品を取り出す」「トレーに箱詰めをする」など多くの作業があり、作業員の負担となっていました。
後工程では、製品を出し入れすることも多く、「そもそも自動化が難しい」という課題もありました。
導入した機械の種類・自動化した工程
こちらの事例では、パレタイジングロボットと、製品のストッカーを導入しています。具体的には、ピックアップから洗浄、トレーへの箱詰めをすべて自動化しました。
その結果、作業員の洗浄・箱詰め作業の負担を大幅に削減しました。さらに精度の高いアームを使用することで、製品を傷付けてしまうリスクも最小限に抑えています。
自動化によるメリットと、導入への課題について
自動化によるメリットは、主に以下の2点です。
- 生産性向上
- 人手不足への対応
一方、自動化には、コスト面での課題もあります。自動化を考えている場合は、メリット・デメリットを比較検討したうえで、準備を進めていくのがおすすめです。
ここでは、自動化のメリットとデメリット・課題を詳しく解説します。
メリット
自動化のメリットは、「生産性向上」を期待できる点です。無人もしくは少人数で24時間体制の営業が可能になるため、人件費を抑えつつ大量の製品を生産できます。
「人手不足」に対応できるのも、自動化のメリットです。特にFA(ファクトリーオートメーション:生産工程の自動化)を実現できれば、人手をほとんど必要とせずに業務を継続できます。
デメリット・課題
自動化のデメリット・課題は、「コストがかかること」です。産業用ロボットを導入する場合、ロボット本体の価格だけでなく、「ロボット関連装置」「ロボット周辺機器」「システムインテグレーター費用」もかかります。
自動化を考えている場合は、ロボットの導入費用を想定し、「投資をどれくらいで回収できるか」を計算する必要があります。
自動化の実現方法
自動化は、いくつかの段階に分かれています。
第一段階は「作業支援」であり、例えば人が機械を使って部品の取り付けを行うフェーズです。ここでは、主に自動化が必要な作業を洗い出し、それに合った機械を導入します。第二段階は「特定の作業の自動化」であり、人間ではなく機械の力だけで作業をします。
次に進むと、「特定の作業の自動化」「条件付き自動化」「高度な自動化」の段階です。ここでは自動化をする工程やラインを決め、作業だけでなく、作業の流れ全体の自動化を試みます。「高度な自動化」では、人間は管理・メンテナンスを行うだけです。
自動化は、第五段階「完全自動化」で終了です。AIの導入や他工場との連携により、外部の状況に合わせて自動で生産状態を変えるといった取り組みもあります。
まとめ
ロボットによる自動化を行うと、省人化や省力化の達成が可能です。これまで複数人で行っていた作業であっても、ロボットを導入すれば、1人や2人だけで済ませられる可能性もあります。自動化のメリット・デメリットを想定しつつ、計画的な導入を進めましょう。
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