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スマートファクトリー化することには数多くのメリットがあります。その中でも幅広い業種に共通して得られる10のメリットを紹介します。また、スマートファクトリー化を実現するためのステップと、スマートファクトリー化の前に考えておきたい点についても解説しますので、ぜひ参考にしてください。
・スマートファクトリーにすることで生産量の増加や人件費の削減などのメリットがある
・スマートファクトリー実現にあたっては、コストや維持費などについても検討する必要がある
スマートファクトリー化する10のメリット
今ある工場をスマートファクトリー化することで、幅広いメリットが得られます。その中でも代表的な10のメリットを紹介します。
- 生産量の増加
- 人員不足の解消
- 人件費の削減
- 雇用調整問題の解消
- 品質の均一化
- 不良品の減少
- 仕入れ量・エネルギー量の最適化
- 在庫量の減少
- 市場ニーズに合わせた生産・商品開発
- 社会的信用度の向上
生産量の増加
スマートファクトリーでは産業用ロボットを活用するため、生産スピードが上がり、生産量も増えます。また、ロボットの稼働時間を増やせば、さらに生産量を増やすことができます。市場ニーズは高くても生産が追い付かずに対応できていなかった企業も、スマートファクトリー化することで生産量増が目指せるでしょう。
人員不足の解消
人員不足であった工場もロボットが作業を行うことで、人手をほとんど必要とせずに生産を行えるようになります。製造業自体、労働者からの人気が低く、人員確保が難しい業種です。都市部から離れた立地や給料の低さなどにより、あまり魅力的な職場でないと考える方は少なくありません。
また、労働力人口の減少により今後も人員確保が難しくなると予想されます。しかし、スマートファクトリーならば人手をほとんど必要としないため、現在の人員不足に対しても、将来的な人員不足に対しても対応できるようになるでしょう。
人件費の削減
スマートファクトリー化により人手をほとんど必要としなくなると、作業スタッフが減り、人件費を削減できるようになります。人件費は工場のコストの中でも大きな部分を占めるため、人件費を削減することは価格競争で勝つためにも重要なポイントです。
雇用調整問題の解消
生産量が長期的に減ると考えられる場合は、作業スタッフの解雇問題が生じます。また、生産量を増やす場合には、作業スタッフも増やさなくてはいけません。常に生産量に合わせた雇用数を確保することは難しく、解雇・雇用に悩まされている経営者も多いでしょう。また、求人や採用の費用・手間も企業側にとっては大きな負担となります。
しかし、スマートファクトリーならばスイッチをオフ・オンに切り替えるだけで生産量の調整を行えます。長期的に生産量を増やすときにはロボットの台数を増やすこともできますが、今あるロボットだけでも稼働時間を長くすることで対応できることもあります。つまり、スマートファクトリー化することで、生産量が増えても減っても生じる雇用調整問題を解消も目指せるでしょう。
品質の均一化
スマートファクトリー化により製造作業をロボットが担当するようになると、製品の品質を均一化できるというメリットがあります。熟練工並み、あるいはそれ以上の精度を期待できるでしょう。
不良品の減少
品質が均一化するということは、不良品が減るということを意味します。検品に通らない製品が減るので、廃棄処分するものが減り、原材料の無駄も省けるようになります。
仕入れ量・エネルギー量の最適化
スマートファクトリーではITを使って市場ニーズをリアルタイムで把握します。市場ニーズから最適な原材料の仕入れ量を割り出し、無駄のない仕入れが完成します。また、生産量にも無駄が生じないため、製造に使用するエネルギー量の最適化も図ることができます。トータルで見ると製造コストを下げることになり、利益増や価格減による競争力の強化も実現できるでしょう。
在庫量の減少
スマートファクトリー化により市場ニーズに合う量だけを生産できるようになれば、在庫量の減少も実現できます。在庫用に多数の倉庫を保有あるいは借りている企業も、倉庫を減らすことができ、経費を大幅に削減できるでしょう。
また、食品のように消費期限が短い製品を扱っている場合は、在庫時間が長いと廃棄処分しなくてはいけないケースも少なくありません。スマートファクトリー化することで在庫量を減らせば、廃棄処分となる製品も減らせます。ゴミの量の削減、また、廃棄にかかるコストやエネルギーの削減にもつながるでしょう。
市場ニーズに合わせた生産・商品開発
スマートファクトリー化が実現すると、市場ニーズに合わせて生産量を調整するので、必要量だけを生産できるようになります。製品供給量を市場ニーズと連動させることができ、市場に過剰供給感や在庫不足感を与えないようになるでしょう。
また、製品に対する顧客反応のデータを収集・分析して、商品の改良や新たな商品開発に活かせるようになります。顧客が欲しいと感じる商品を敏感に察知し、収集したデータを用いて商品化すれば、業界内での競争力を高めることにもなるでしょう。
社会的信用度の向上
製造過程を機械化することで、衛生面が向上し、社会的信用度の向上にもつながります。また、不良品が減少することや品質の均一化によっても、クオリティの高い製品を製造する企業として認知されるようになり、社会的信用度の向上につながるでしょう。
スマートファクトリーを実現するうえでの課題・デメリット
スマートファクトリー化にはさまざまなメリットがありますが、実現するためにはいくつかの課題を乗り越えなくてはいけません。実現を阻む可能性のある課題やデメリットについて見ていきましょう。
- 莫大なコストがかかる
- 機械のメンテナンスが必要
- 変化への反発がある
莫大な導入コストがかかる
スマートファクトリー化には莫大な費用がかかります。産業用ロボットやITシステムを導入する費用はもちろんのこと、どのような工場を完成するのか、システムインテグレータ(SIer)と話し合いながらプランニングするため、システムインテグレータへの相談料も必要です。
少しでもコストを減らすために、補助金制度の活用も検討してみましょう。国や地方自治体でスマートファクトリー化に活用できる補助金を提供していることがあるので、条件に該当する場合は必ず申請してください。
機械のメンテナンスが必要
産業用ロボットは定期的なメンテナンスが必要です。メンテナンスをおろそかにしていると故障の原因になり、生産量の低下につながる恐れがあります。システムインテグレータやロボットメーカーとも協力し、定期的にメンテナンスを行うようにしましょう。
変化への反発がある
スマートファクトリー化に対して社内から反発を受ける可能性があります。経営陣からは「導入費用」の問題により反発が生じることがあり、また、従業員からは「解雇」や「労働時間短縮による給料減」の問題により反発が生じるかもしれません。導入費用をどう工面するのか、また、再就職のあっせんをどの程度まで行うのかについて明確にしてから、周囲を説得していく必要があるでしょう。
まとめ
スマートファクトリー化することで、生産量の増加や社会的信用度の向上などの多彩なメリットを得られます。資源を有効活用することや人材不足に対応することなど、将来的に見ても価値の高いメリットも多数あります。しかし、導入に際しては反発を受ける可能性があるので、費用や雇用の問題について明確にしてから周囲に賛同を求めるようにしましょう。