産業用ロボットSIer 300社掲載

2021.03.31

5sとは?5sに効率的に取り組むために産業用ロボットを導入しよう

製造業・サービス業などの職場環境改善活動である「5s」。

現在では製造業のみならず、一般的な職場の効率化に広く用いられる概念です。
今回は、5sの定義や内容から、産業用ロボット活用のメリットまで紹介します。

この記事の結論

・5sとは「整理、整頓、清掃、清潔、躾(習慣)」の総称
・5sは計画~業務の可視化~検証のステップで進める
・5sのメリットは「安全性の確保」「ムダの排除」「社員の意識変化」
・5sのデメリットは「コスト・パワーがかかる」「すぐに効果がでにくい」

5sとは

5sとは、工場現場の課題発見と改善に取り組むための5つの手法の総称です。
名称は「整理、整頓、清掃、清潔、躾(習慣)」のローマ字の頭文字「S」を取った造語です。

5sが誕生した背景には諸説ありますが、世界的な自動車メーカーのトヨタ自動車が生み出した「トヨタ生産方式」の中で体系化が進んだことが有名です。トヨタでは「5sは仕事の基本」と位置付けられ、新入社員は基礎教育として5sを叩き込まれます。

5sには身の回りの整理・整頓を通じて、仕事のバラツキをなくし品質と生産性を高めるために有効な手法です。さらに価値観の転換・創造性開発にも役立ち、組織力・チーム力の底上げにも効果を発揮します。

したがって、現在ではメーカーや生産現場以外の通常の企業やオフィスワーカーにも5sの概念は浸透しています。

5sの具体的内容

5sを構成する5つのsについて、取り組み内容を具体的に解説します。

整理 Seiri

5Sでの整理とは、必要なものと不要なものを区別して、不要なものを捨てることです。

不要なものは在庫や道具、書類などの物理的なものが中心となりますが、データや情報など、目に見えないものも含まれます。

不要なものがなくなることで、必要なものを探す際に効率が良くなります。また、無駄がなくなることで、生産性の向上やコスト削減効果も期待できます。

整頓 Seiton

5Sでの整頓とは、必要なものを決められた場所に置いておくことです。

置く場所だけではなく、置き方や表示などによって、必要なものが迅速に取り出せる状態にしておくことも含まれています。
例えばトヨタ自動車の工場では、レンチひとつをとっても、置く場所が決められています。必要なものを探す時間がなくなることで、ひとつひとつの作業効率を高めることが可能になります。

ある調査データによると、ビジネスパーソンが必要なものを探すために費やす時間は、年間150時間にのぼるといわれています。
整理・整頓を行い、これらの無駄な時間を削減するだけで、生産性を大きく高めることができます。

清掃 Seisou

5Sでの清掃とは、職場を掃除してきれいな状態に保つことです。

職場だけではなく、使う道具なども手入れをしてきれいに保つことも清掃にあたります。

また5sの清掃はただ掃除をするだけではなく、目標を決めて行うことが求められます。目標達成のためには、ルールや手順を詳細に決めていく落とし込んでいくことも必要となります。

清潔な環境が整うだけでなく、清掃をするプロセスでスタッフの規律意識や行動にもつながります。

清潔 Seikethu

5Sでの清潔とは、前述した「整理」、「整頓」、「清掃」を徹底することで、常に汚れのないきれいな状態を維持することを意味しています。

清潔な状態を徹底して保つことで、職場での事故などを防ぐことができ、安全性の向上にもつながっていきます。

しつけ(習慣) Sithuke(Syukan)

5Sにおける躾(しつけ)とは、決められたルールや取り組みを実行できるように習慣づけることです。

これまで紹介した5Sの要素のそれぞれを実行していくためには、組織的にルール化を行い、スタッフ一人ひとりが普段の仕事に取り込んでいく必要があります。

最終的に5sを意識せずとも実行できるような状態にすることが、躾の最大の目的です。

5sを進めるステップ

5sは包括的な取り組みで、単独のsを進めると効果を発揮しにくくなります。ここでは5s全体を推進するための3つのステップを紹介します。

5s導入の準備・計画

5sをいきなり取り組み始める前に、準備段階として5s活動の目的や実施後の目標などの計画を決定します。

大きな工場など広範囲で5sを実施する場合は、各現場における推進者を選定し、5sの推進体制を構築することが必要となります。時には若手メンバーを育成目的で担当にアサインすることも効果的です。

準備・計画が整ったら、5s活動を実践するスタッフ全員に、活動の目的と意義を伝えて共有を行ってください。

5s導入対象の業務の可視化

5sを導入する対象範囲・業務を決めたあとは、対象の可視化を行います。

整理整頓のためには、現場の必要なものと不要なものの見極めや、業務の流れに沿ったものの配置などが必要になります。

正しく判断するために、まずは現状の業務プロセスやフローの可視化を行いましょう。細かい業務の流れを把握することで、職場環境の理想的なあり方が見えやすくなります。

5s導入後のチェック・検証

5s活動を有益なものとするためには、効果検証は欠かせません。

5s導入の目標に対して、導入後の効果や有効性を随時確認していってください。

効果が思ったほど得られない場合は、ステップのどこにボトルネックがあるかを確認したうえで、絶えず活動内容をブラッシュアップしていってください。

5sを導入するメリット・デメリット

5s活動にはメリットはもちろんありますが、注意すべき点もあります。
ここでは5sで得られるメリットとデメリットを解説します。

メリット

5sを既に導入している現場からよく聞かれるメリットを紹介します。

安全性の確保

製造業の現場では事故を防ぎ安全性を確保することが重要です。

5sで現場から不要な物がなくなることで、通路などの動線の明確になり安全性が確保されるようになります。

現場スタッフが安心して働ける職場環境の構築はもちろんのこと、設備トラブルや労働災害などにより生産が停止してしまうといったリスクも減らす事が出来ます。

ムダの排除

5sを適切に行っていれば、「探すムダ」を排除することができます。必要な場所に必要なモノが取り出しやすく戻しやすい状態で置かれてる状態になっているからです。

ムダのない環境に身を置くことで業務効率が良くなるだけではなく、さらなる生産性向上の意識がスタッフに芽生えるでしょう。

社員の意識変化

5sは工場など職場全体で取り組みます。5sを全体で実施するプロセスを踏むことで、関わったスタッフ全員に改善や生産性向上の意識変化が期待できます。

自分たちの取り組みで職場が変化することを実感できれば、スタッフの効力感や自信にもつながるでしょう。

デメリット

次に5sを導入する際の注意すべきデメリットを紹介します。

コスト・パワーがかかる

職場を整理・整頓するためには道具やロッカーなどの収納場所を用意するためのコストや、社員へ教育を行うためのパワーが発生します。

また生産フローが変わることで一時的な生産性ダウンも起こり得るので、注意が必要です。

すぐに効果がでにくい

5sは実施後すぐに効果が実感できたり、利益に貢献するような取り組みではありません。
5sを継続して行い習慣づけることで、徐々に作業効率が改善されて効果があらわれます。

すぐに効果がでないからといって5s活動を中断するのではなく、中長期の目線で5sを行う必要があります。

5s推進のために産業用ロボットを活用しよう

5sの仕組みや自動化の流れを受け、昨今は産業用ロボットにも注目が集まっています。
5sが進み、作業が体系化・見える化したことで、人手が必要な作業とロボットが代替する作業の識別がつきやすくなるでしょう。

昨今は産業用ロボットの小型化や低価格化が進んでいるため、中小企業や小さな工場でも5sを進めた暁にはロボットの導入を検討しています。

5s活動のような仕組みで行う活動と、ロボットのような設備を活用する活動を組み合わせることで、5sの推進効果はさらに期待できるでしょう。

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