PLC・シーケンス制御は副業でできる?具体的な始め方を解説

PLC・シーケンス制御は専門性の高い技術分野であり、業務を担うエンジニア不足が常態化しています。そのため、ハイスキルなエンジニアであれば、PLCの副業で報酬を得ることは可能です。
しかし会社員として忙しく本業をこなすなかで、果たして副業として始められる業務はあるのか、疑問を持つ方もいるのではないでしょうか。
そこでこの記事では、PLC・シーケンス制御の副業についての実情と、具体的な始め方を解説します。
この記事さえ読めば、PLC副業のすべてが分かる内容となっているので、ぜひ最後までご覧ください。
【結論】会社員がPLC・シーケンス制御で副業することは可能!ただし案件は限られる

結論からいうと、PLC・シーケンス制御のスキルを持つ会社員が、副業に挑戦することは十分可能です。現在、PLC含む制御設計分野では技術者不足が続いており、市場需要は高い状況にあります。
とくに図面や電気回路図の作成などは在宅でも対応できるため、会社員でも取り組みやすいのが特徴です。クラウドソーシングサイトやスキルシェアマーケットでは、月1万円程度からスタートできる小規模案件も見つかります。
ただし、実機を使ったテストや現場での調整が必要な案件は、平日昼間に対応できない会社員には難しいのが現状です。そのため、副業で受注できる案件は限られることを理解しておきましょう。
会社員がPLC・シーケンス制御の副業をする際の注意点

会社員がPLCの副業を行う際は、以下3つの事柄に注意してください。
- 高い初期投資が必要
- 時間的拘束の厳しさ
- 本業の就業規定との兼ね合い
1. 高い初期投資が必要
PLCエンジニアが副業としてPLCを始めるには、作業環境を自分で整える必要があります。PLCの副業で必要な機材は、以下の通りです。
- ノートPC:15~25万円ほど
- シーケンサソフト:10万円~
- インターネット環境:月額4,000~6,000円ほど
ほかにも人によっては、集中して作業するスペース(オフィス代金)も必要です。すべてをざっくり計算すると、およそ30~40万円ほどの初期投資がかかります。
40万円を副業で回収するには、根気強く副業を続ける必要があります。会社員がPLCの副業を始める際は、初期投資の回収にどの程度時間がかかるかも念頭に入れましょう。
2. 時間的拘束の厳しさ
PLCの副業で1番の課題は、時間的拘束の厳しさです。図面や回路の設計は在宅で対応できますが、納入後のデバッグや現場作業は実際に現場に出向く必要があります。
PLC案件の多くは、ソフト設計とデバッグがセットになっています。平日昼間は本業で忙しい会社員が、デバッグまですべてこなすのは不可能に近いでしょう。
会社員がPLCの副業をする際は、完全在宅で完結する案件や、夜間・休日対応可能な案件に絞って活動する必要があります。案件選びの際は、事前に作業内容と対応時間を確認しましょう。
3. 本業の就業規定との兼ね合い
副業を始める前に、本業の就業規定を必ず確認してください。企業によっては就業規定により、以下の内容が定められています。
- 秘密保持義務
- 競業禁止義務
- 副業禁止規定
上記の就業規定に抵触すると、最悪の場合には懲戒解雇の恐れがあります。とくに同業他社の案件を受注する際は、競業禁止義務に注意が必要です。
副業に関する規定が明確でない場合は、人事部や上司に事前確認を行いましょう。会社員がPLCの副業をする際は、本業の規定との兼ね合いをしっかり確認することが不可欠です。
PLC・シーケンス制御の副業におすすめの案件内容4選

PLC・シーケンス制御を副業として行う場合、おすすめの案件内容は以下の4つです。
- PLCプログラム作成・修正
- 電気回路図・シーケンス図面の作成
- 制御盤の設計・制作
- オンライン講師
1. PLCプログラム作成・修正
PLCのラダー図やST言語を用いて、機械や設備の制御ロジックを作成・修正する業務です。
案件はクラウドソーシングや業務委託、知人経由などで受注可能で、案件ごとの単価は数万~十数万円程度となります。案件の難易度や規模、現場対応の有無により単価は大きく変動するため、業務内容の事前確認が必要です。
主な業務内容は、新規設備の立ち上げから既存プログラム改修、仕様変更への対応などです。ただしプログラム作成だけでなく、シミュレーションや現場での動作確認、デバッグなどがセットの案件が多い傾向にあります。
小規模な作成・修正案件は、在宅で完結することもあります。しかし中規模以上の案件では、現場作業や立ち会いが必要になるケースが多く、会社員の受注は難しいのが現状です。
2. 電気回路図・シーケンス図面の作成
電気制御回路やPLC制御の動作を示すシーケンス図(ラダー図や回路図など)を、専用ソフトで作成する業務です。仕様書や現場の要望に基づき、図面を新規作成・修正するのが主な業務となります。
クラウドソーシングや業務委託で受注可能で、図面作成のみであれば在宅で完結できる案件が多いのが魅力です。単価は1枚あたり数千~1万円ほどで、高難易度の案件や複数枚の受注であれば、さらに高い報酬が期待できます。
会社員が副業としてPLCを始めるなら、もっとも現実的な選択肢といえます。現場作業が不要で、自分のペースで作業を進められるため、本業との両立がしやすい業務です。
3. 制御盤の設計・制作
制御盤の組立や配線、加工などを行う業務です。案件単価は規模により異なりますが、設計込みで数万~十数万円ほどが相場となります。
制御盤の設計図に基づき、部品選定から動作確認まで担当します。責任範囲が広く、トラブル対応や納期管理にもタイトさが求められます。
加えて、基本的に現場作業となるため、会社員の副業として現実的ではありません。制御盤設計は業務委託の募集をかけている企業は多いものの、時間の融通が利くフリーランスに適した案件といえます。
4. オンライン講師
ココナラやUdemyなどのプラットフォーム上で、PLCについて講義をする副業です。オンラインで完結するため副業に向いており、PLCとして直接的な作業ではなく、教育事業として利益を上げることになります。
報酬形態は時給制(3,000円~5,000円程度)や講座単位(1回数千円~)が一般的です。パソコンやカメラなど最低限の機材があれば始められ、初期費用もほぼ不要な点も大きなメリットです。
また、オンライン講師を始めるには、以下の準備が必要となります。
- 教材を作る
- 講座内容を定める
- 集客する
オンライン講師は、エンジニアとしてのスキルのみならず、人に情報をわかりやすく伝える力も求められます。一方、1度作った教材や講座は不特定多数に販売できるので、集客がうまくいけばコストパフォーマンスがよい副業です。
PLC・シーケンス制御の副業を始める方法を4ステップで解説

PLCの副業を始める際は、以下の4ステップに沿って進めてください。
- STEP1. 作業環境を整える
- STEP2. ポートフォリオを固める
- STEP3. 案件に応募する
- STEP4. 案件をこなす
STEP1. 作業環境を整える
PLCの副業を始めるために必要なものは、以下の3つです。
- ノートPC
- シーケンサソフト
- インターネット環境
すでに環境が整っている方は、STEP2に進んでください。
ノートPC
電気回路図や図面の作成・修正がメイン業務のPLC副業には、ノートPCが絶対に必要です。
購入するものはビジネスノートで十分ですが、2DCADやシーケンサソフトを扱う関係上、相応のメモリとCPUが要求されます。とくにメモリは最低16GB、できれば32GBのものを買いましょう。
また制御設計関連のエンジニアはPCを持ち運ぶ機会が多いため、なるべく軽いPCを選んでください。ここでは総重量1kg前後のノートPCをいくつか紹介します。
機種 | 公式HP価格 | メモリ容量 | CPU | 重量 |
---|---|---|---|---|
HP Pavilion Aero 13-bg![]() | 119,800円(税込)~ | 16GB | AMD Ryzen™ 5 8640U 6 コア/12 スレッド プロセッサ | 約990g |
mouse DAIV Z4-I7I01SR-A![]() | 189,800円(税込)~ | 16GB | インテル® Core™ i7-1360P プロセッサー | 約975g |
LENOVO ThinkPad X1 Carbon Gen 13 IAL![]() | 220,572円(税込)~ | 16GB | インテル® Core™ Ultra 5 プロセッサー 225U | 約986g |
ASUS Zenbook 14 UM3406KA![]() | 199,800円(税込)~ | 32GB | AMD Ryzen™ AI 7 350 8 コア / 16 スレッド・プロセッサー | 約1200g |
HP EliteBook X G1i 14 AI PC ![]() | 207,680円(税込)~ | 32GB | インテル® Core™ Ultra5プロセッサー228V | 約1190g |
msi Prestige-13-AI-Evo-A1MG-1103JP![]() | 209,800円(税込)~ | 32GB | インテル® Core™ Ultra 7 プロセッサー 155H | 約990g |
シーケンサソフト
以下に挙げる三菱のシーケンサソフトは必須なので、必ず購入・インストールしてください。
- GX Works2
- GX Works3
- GT Designer3
使用率の高いソフトがすべてバンドルされた「三菱 iQ Works」がAmazonで99,980円(税込)で販売されているので、こちらの購入をおすすめします。
また、近年使用率が高いPLCソフトウェアとして、キーエンスの「KV STUDIO」と「VT STUDIO」があります。これらは案件で必要になったら買うとよいでしょう。
インターネット環境
自宅にインターネットがあれば問題ありませんが、なければ1Gbps以上の速度を持つ回線がおすすめです。
安定したLAN回線があればクライアントとの連絡も取りやすくなり、安心して作業が進められます。
STEP2. ポートフォリオを固める
案件に応募する前に、まず自身のポートフォリオを作成しましょう。以下の内容を参考に自分が持つスキルの棚卸しを行い、ポートフォリオを固めてください。
- 使用できるPLCメーカー
- 持っているスキル(画像処理やサーボ演算、通信など)
- 使えるCADソフト など
次に本業を通して、どのような経験や実績があるかを細かく整理します。スキルと経験を改めて整理することで、自分の市場価値を客観的に把握できます。
ポートフォリオの作成は、じっくり腰を据えて行ってください。充実したポートフォリオでクライアントにアピールすれば、案件が受注できる確立は格段に上がります。
STEP3. 案件に応募する
ポートフォリオが完成したら、いよいよ案件に応募しましょう。PLCエンジニア向けの案件は、以下の方法で探せます。
- クラウドソーシングサイト
- スキルシェアマーケット
- SNSでの応募
- 人脈からの紹介(コネクション)
- 転職サイト・フリーランス向け案件サイト
最初期はなかなか案件に受かりませんが、焦らず積極的に応募してください。細かい業務をこなして実績を積めば積むほど、次の案件につながりやすくなります。
とくにエンジニア特化の案件サイトなどでは、副業でもできる業務委託形式の案件を数多く取りそろえています。FA業界向け案件サイト「ロボカル」においても、副業から始めたいPLCエンジニアの方の支援も誠心誠意サポートするので、興味があれば以下のリンクから気軽にご相談ください。
STEP4. 案件をこなす
案件に受かったら、プロ意識を高く持って業務に取り組みましょう。業務に取り組む際は、納期厳守と密なコミュニケーションを意識してください。
とくにクライアントとのコミュニケーションは、やり過ぎなぐらいで丁度良いと考えましょう。密にコミュニケーションを取って相互理解を深めれば、認識のズレによるトラブルを防止できます。
納品して報酬をもらうまでは、一介のプロとして仕事に責任を持つことが重要です。クライアントに誠意ある仕事ができれば、今後の継続的な受注や案件紹介につながります。
PLC・シーケンス制御の本業と副業を両立させるコツ5選

本業とPLCの副業を両立させるコツを、以下の5つ紹介します。
- タスクと進捗の管理を徹底する
- 作業時間を最適化する
- 無理な仕事は必ず断る
- 健康管理を徹底する
- コミュニケーションを密に取る
1. タスクと進捗の管理を徹底する
さまざまな便利ツールを使い、タスクと進捗の管理を徹底しましょう。業務の管理におすすめのツールをジャンルごとに紹介するので、参考にしてください。
- カレンダーアプリ:Googleカレンダー
- タスク管理アプリ:asana
- 時間管理アプリ(ポモドーロタイマー):Focus To-Do
ツールの活用でタスクと進捗を可視化すれば、集中して取り組むべきことが明確化できます。加えて日々の達成具合も目に見えるようになるため、モチベーション向上にもつながります。
また、タスクは定期的に見直しを行い、優先順位を調整することも大切です。
2. 作業時間を最適化する
本業と副業を両立させるには、作業時間の最適化が必須事項です。本業で忙しいなかで副業の時間を捻出するために、使える時間を整理して最適化しましょう。
具体的には、以下のような施策が有効です。
- 普段より2時間早く起きて副業に充てる
- 本業や家事のスキマ時間を有効活用する
- スマホを触る時間を減らす
- 土日に集中して作業に取り組む
とくに週末は、副業にじっくり取り組める貴重なタイミングです。娯楽やスマホをぐっと我慢して、やるべきことに集中してください。
時間の使い方を見直せば、自分の想定以上に副業に充てられる時間があることに気づけます。
3. 無理な仕事は必ず断る
使える時間が限られているにも関わらず、何でもかんでも仕事を受注してしまうのは非常に危険です。
副業の範囲で業務が回らなくなると、クライアントや業界からの信頼を損ないます。それだけでなく、本業にも致命的な支障が発生する可能性があります。
多少頑張ればこなせる程度であれば受けた方がよいですが、明らかに無理な仕事はしっかり断りましょう。適切な案件選択が、副業を持続させる鍵となります。
4. 健康管理を徹底する
体調管理、とくに睡眠時間と食事の管理はしっかり行いましょう。十分な睡眠時間を確保できずに副業を続けると、副業のみならず本業のパフォーマンスも下がります。
睡眠不足は多大なストレスを身体に与え、体調を崩す大きな要因です。また、食事を抜いて栄養補給を怠ることも、体調不良の原因となります。
健康管理の徹底により、つねに最大のパフォーマンスで仕事ができ、業務効率が劇的に向上します。短期的な成果を求めて健康を犠牲にするのではなく、長期的な視点で持続可能な働き方を心がけましょう。
5. コミュニケーションを密に取る
クライアントからの問い合わせにはなるべく早く返信する、疑問点があればすぐに質問するなど、コミュニケーションは密に取ってください。事前に相互理解を深めておけば、後から問題が起きる確率を最小限に留められます。
案件の仕様によっては自分のスキルと親和性が低く、うまく業務が回らない可能性があります。最悪の事態を防ぐためにも、積極的なコミュニケーションは不可欠です。
副業で行っているからこそ、自分からの積極的な働きかけが求められます。定期的な進捗報告や課題の早期共有により、クライアントとの信頼関係を構築しましょう。
【まとめ】PLC・シーケンス制御の副業を始めたい方はロボカルに相談を

PLC・シーケンス制御の業務はクライアントからの需要も高く、副業を求めるPLCエンジニアにとって有望な選択肢です。ただし初期投資や時間的制約、本業との兼ね合いなど、注意点も多くあります。
自分のPLC関連のスキルと市場価値を正確に把握し、適切に案件を選ぶことが重要です。PLCプログラムや図面作成など、在宅で完結する案件をうまく選択しましょう。
PLCの副業を検討している方は、高い専門性を持つアドバイザーに相談することで、自分に合った案件を適切に選択できます。当社「ロボカル」では、PLC・シーケンス制御エンジニアのサポートも行っていますので、ぜひお気軽にご相談ください。