産業用ロボットSIer 300社掲載

2022.01.31

日新インテック株式会社は木工加工機械、システム大手ホマッグ社(ドイツ)の自動倉庫ロボットシステムを導入して板材の倉庫への投入とランニングソー(水平テーブルで材料を自動走行させ加工切断する装置)への自動払い出しを実現

日新インテック株式会社
代表取締役社長

「少量多品種の業界での自動化」を実現させている日新インテックの平社長に導入のきっかけや将来への展望をロボカル 日比野学が取材させていただきました。

【会社概要】 

社名日新インテック株式会社(以下日新インテック) 
代表取締役社長平昌夫
設立1951年12月 
社員数70名 
本社北海道札幌市
事業内容造作家具・木製建具の製造、販売、施工、木造作工事、各種リノベーション工事、一般内装工事 
主要取引先大成建設、大林組、鹿島建設、竹中工務店、岩田地崎建設

木製の家具、建具、内装工事の事業でロボット化を実現

馴染み深い製品である学校の教室で使われている木工の窓付きスライドドアが工場内で製造されていた。  
 今回、ホマッグ社(ドイツ) 自動倉庫ガントリータイプパレタイズロボット(設置スペース保管スペース含む)20m×10mを導入されることになったきっかけと展望をお教えいただいた。 
 もともと自社工場内のほとんどの木工機械がホマッグ社の機械 。木工機械では世界最高峰といわれるだけあって信頼度が高く、長年使用している中で大きな機械故障がほとんどない。アフターサービスも充実している。そういった付き合いの中で工場内をよく理解しているホマッグ社の担当者よりパレタイズロボットの提案を受けた。 また、平社長自身が国内の木工機械展示会、ドイツ・イタリアの展示会へも足を運んだ。また、ホマッグ社のロボット・装置を導入した木工メーカー等へ実際に使用されている状況を見学にいかれたとのこと。
 今回の自動倉庫システムを導入することにより従来の板材の保管棚が半分程度になることが期待される。その空いたスペースに新たに機械を導入する検討していると目を輝かせていた。 

4人がかりの搬送作業をロボットが行ってくれる 

 取材時点で筆者の受けていた木工製品のトレンドイメージは軽くて耐久性のあるものであったが、実際は安い規格の材料が主流となってきており、これが非常に重い。
 確かに格安で家具を販売する大手メーカの家具は非常に重い。しかし考えてみれば扉や据え付けてしまう家具は重くても問題ないといえる。 
 そんな中でも最大規格の材料は4人がかりでないと運べないようなものもある。そのような重い材料だからこそ、重い材料を人ではなくロボットに運んでもらう必要性もでてきているということは納得がいく。 ただし加工部門は金属加工とは違って材料の個体差が大きく、入り口から出口まで全自動化するのが困難である。また、少量多品種に対応していく必要がある中でロボットを導入していくのも困難である。人とロボットがどううまく連動していけるかを試行錯誤されてきたお話を伺った。 
 システムとしてはホマッグ社のWCCシステムを活用している。設計データから加工機へのデータ入力までバーコード管理で一気通貫で使用できるシステムであり工数削減に大きく貢献している。仕組みとしては理想ではあるが少量多品種生産では逆に時間がかかってしまうこともある。また、機械メーカー1社限定となってしまうことも事実であり、利用価値を判断しながら使用していくと冷静なコメントをされた。 

 「日新インテックで働く方の人数と状況は?」 
事務所:28名、工場35名+7名、社員外取付工約30名 
 工場に機械、ロボットを導入することで全社員に占める工場で働く方の人数割合は減ってきている。ただ現在の売上を維持しようとすると社員が不足しているのが現状であり、調整の効かない固定費に対し機械化、ロボット化によってコントロールするのがテーマの一つである。   

木に関することは全て 

 家具と建具と両方を扱うメーカーは少ない。   
 家具の部分を製造するメーカー、建具を製造するメーカーはそれぞれ存在するが、その両方を製造してているメーカーはほぼいない「木に関することは全部行う」をキーワードにあげられ強みとして表現されている。 
 なぜ?「木に関することは全部行う」ことができるのか。
施工図を描く技術者が7名いる。物のつくり方を社内でコントロールできるのは強み。 
ただし、施工図を描く技術者が社外では減少してきており、社内で育てることが急務になってきている。  
社内で物のつくり方をコントロールできるのもロボット化、機械化できる一つの要素 。大手家具メーカーも日新インテックと同品目の製品を製造しようと展開しようとしたが、うまくいかず撤退されたとのこと。 

編集後記 

 工場を見学させていただきながらお話を伺いましたが、「人とロボット・機械がうまく連携できている」印象を受けました。またその裏には多くの良いものを効率よく作るための試行錯誤が感じられました。人を大切にするために大変な作業の場所にロボットを導入し、品質を落とさないように職人さんが段取り、チェックする。良いものが効率よく作られていくイメージがつきます。普段からお付き合いされている信頼あるメーカーからの提案から始まったロボット導入是非とも参考にしていきたい一つの事例だと思います。