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人と同じ環境で作業ができる安全性の高い「協働ロボット」。複雑な作業を得意とし、人材不足の解消に貢献しています。
協働ロボットを開発しているメーカーは国内外で多く存在し、メーカーごとに特徴があります。今回は協働ロボットのメーカーの特徴と製造しているロボットについて紹介します。
・協働ロボットはさまざまな企業で開発・製造がおこなわれている
・国内だけでなく海外メーカーも協働ロボットを取り扱っている
・協働ロボットはメーカーによって仕様がさまざまで特徴も異なる
協働ロボットを取り扱っているメーカーを紹介
協働ロボットを取り扱っているメーカーはたくさんあります。ここでは、メーカーの概要と取り扱っている製品を紹介します。
オムロン株式会社
オムロン株式会社は、自動化を目的とした、制御機器、電子部品、自動改札機などの製品を開発している企業です。
ヘルスケア事業も参入しており、多くの事業で商品やサービスを国内外で提供しています。
同社の協働ロボットTMシリーズは自動車、食品、化粧品などさまざまな業界でのニーズに対応し自動化をサポートしてくれます。
独自のソフトウェアにより直観的にプログラミングを行え、短時間での生産立ち上げが可能です。画像証明付きビルトインビジョンを搭載し、幅広い視野で製品を認識することができます。
株式会社デンソーウェーブ
デンソーウェーブは大手自動車部品メーカーのデンソーの子会社です。
産業用ロボット事業を行っており、自動車用だけでなく、電気・電子、食品、医療系の産業用ロボットも製造しています。小型産業用ロボットでは世界トップクラスのシェアを誇っています。
同社のCOBOTTAは軽量性と操作性に優れた小型の協働ロボットです。
ロボット本体の重量が4kgで持ち運びが簡単ですぐに作業を始められます。アーム部を直接動かして教示するダイレクトティーチング方式を採用しているため、専門的な知識や技術は必要ありません。
川崎重工業株式会社
川崎重工株式会社は1896年創業の東京都港区に本社を構えるメーカー。バイクや鉄道車両などの開発を行っていることでも知られています。
産業用ロボットについても歴史があり、日本で最初に開発・製造した企業として有名です。スカラロボットや垂直多関節ロボット、高速ピッキングロボットなど多種多様なロボットを製造しています。
同社の双腕スカラロボット「duAro」は人と同じ空間で作業ができる協働ロボットです。
ダイレクトティーチングやタブレット端末での操作・教示が可能で、初心者でも直観的に扱うことができます。双腕であることから、単腕ではできない複雑な作業を行うことが可能です。
ファナック株式会社
ファナックは世界でもトップクラスの規模を誇る産業用ロボットメーカーの1つ。
黄色いロボットアームが特徴的で、生産工程の自動化事業(FA事業)を得意としています。多関節ロボットに強みがあり、IoTにも力を入れています。
同社の協働ロボット「CRXシリーズ」は信頼性設計が施されたメンテナンスフリーの小型ロボットです。省スペースでの設置が可能で用途に合わせて動作範囲の設定を行えます。
安全性も高く、人に触れると確実にロボットが停止します。ダイレクトティーチングとタブレット端末を使用した操作により、初心者でも簡単に扱うことが可能です。
カワダロボティクス株式会社
カワダロボティクス株式会社は、2013年創業のロボットメーカーです。ヒューマノイドロボットをはじめとした機械・装置の開発から製造、販売、保守点検まで行っています。
同社の協働ロボットNEXTAGEは優れた安全性と生産性の向上に優れたロボットです。画像認識システムを搭載しており、ワークを捉えて精度の高い作業を行うことができます。
電気・電子業界やバイオ系などあらゆる分野で利用でき、大手企業からの導入実績もあります。
AUBO Robotics
AUBO Robotics社は中国発の協働ロボットメーカーです。低価格が強みで、国内では株式会社三機が取り扱っています。
同社の協働ロボットAUBOは軽量と低コストを実現したロボットです。操作性も簡単で、初心者が半日あればプログラミングを作成できます。
繰り返し精度±0.05mmと高精度です。EUやアメリカの安全基準をクリアしたことを証明するCEとNRTLからも認証を取得しており、協働ロボットとして安全に利用できます。
KUKA株式会社
KUKAはドイツに本社がある産業用ロボットメーカーです。世界に多数の拠点を持っています。
自動車業界への産業用ロボットに強みを持っていますが、衛生面に優れた食品向けや半導体のクリーンルームなど各分野でさまざまな種類のロボットを開発しています。
同社のLBR iiwaは世界初の高感度協働ロボットです。トルクセンサより接触を検知するとロボットが停止し、制御によって精密部品でも傷やへこみを付けないよう取り扱うことができます。
シミュレーションを用いたプログラミングができ、初心者も簡単に扱うことが可能です。画像認識機能も優れています。
Universal Robots
Universal Robotsは、デンマークを拠点を拠点に置く企業で協働ロボットを先駆けで開発を行ったメーカーです。2005年に設立された新しい会社ですが、協働ロボットの世界シェア1位という実績を持っています。
同社の協働ロボットUR3eはセットアップが簡単ですぐに利用できる点が特徴的です。軽量で小型のため設置が可能なため、ロボットの移動や再配置が難しくありません。安全性が高く、ロボットの可動領域内に人が入ると自動停止してくれます。
株式会社ダイアディックシステムズ
1995年創業の石川県金沢市を本社に置くメーカーです。
製造・販売をさまざまな企業と協力して行っており、世界トップレベルの制御ソリューションを顧客に届けることを目標にしています。協働ロボットをはじめ、メカシリンダの製造・販売を行っています。
ダイアディックシステムズの人協働ロボット「DSR2-400」は安全性を考慮して設計された小型ロボットです。
パラメータシートを用いたプログラミング方式で、位置を設定するだけでプログラムが自動生成されます。ダイアル式でロボットの位置設定できるため操作も難しくありません。
三菱電機株式会社
三菱電機はエアコンなどの家電から、重電機器、情報通信システム、産業用ロボットの製造販売を行っています。
ロボット系では垂直多関節ロボットやスカラロボットなどさまざまな種類のロボットがラインナップしています。シーケンサなどの周辺機器も製造しており、ロボットとの相性が抜群です。
ASSISTAは操作性に優れた協働ロボットです。ロボットアームの上部に操作ボタンがあり、アームを動かして教示を行うダイレクトティーチングができます。
専用のツールを用いればパネルタッチでプログラムの作成ができるなど、難しい知識を要さないため初心者でも簡単に扱うことができます。
ストーブリ株式会社
ストーブリ株式会社はスイスに本社を置き、日本では大阪に拠点をもつメーカーです。
さまざまな分野・用途で利用できる産業用ロボットや安全性の高い流体コネクト、電気コネクタ、繊維機械なども取り扱っています。
同社の協働型6軸ロボット「TX2-140」は従来品にある精度とスピード性を維持したまま、安全機能を追加したロボットです。さまざまな安全規格に適合しているため、安全柵が必要ありません。
株式会社安川電機
安川電機は産業用ロボットの累計台数世界一のロボットメーカーです。溶接や塗装用などさまざまな産業用ロボットを製造しています。
自動車用の多関節・双腕ロボットに強みがあり、高いシェアを得ています。医療分野への参入にも注力しています。
安川電機のMOTOMAN-HC10DTシリーズは6軸垂直多関節のロボットです。安全性を考慮し、アーム部の隙間を確保したことで手や指を挟みこむことがないように設計を行っています。
簡単な操作でティーチングを行うことができるスマートペンダントも利用できます。
株式会社不二越
不二越は富山県に本社を置いている、1969年から日本の産業用ロボットの開発を行っている老舗メーカーです。
自動車産業向けの大型溶接ロボットが主力でしたが、近年、小型垂直多関節ロボットなども発売しており、電気機器や一般産業機械向けにも拡販しています。
不二越のスリムアーム協働ロボット CZ10はユーザーインターフェースを重視して設計したロボットです。
人と接触してもセンサによる検知で、ロボットが停止してくれます。アームを動かして教示するダイレクトティーチング方式を採用しており、作業者は簡単に操作できます。
ABB
ABBスイスの産業用ロボットメーカーで垂直多関節ロボットや双腕ロボットなどさまざまな製品ラインナップがあります。
提案力に強みを持っており、ロボットシステムの構築やソフトウェアとの組み合わせなど生産ラインの自動化ソリューションを得意としています。
同社のYuMiは複雑な作業が可能な14軸の双腕型協働ロボットです。100Vの電源で稼働でき、手軽に利用できます。
エンドエフェクタをカスタマイズすることで幅広い用途で使用可能です。専門的な知識が必要ないため、初心者が操作しても問題ありませんが、熟練者にとっても複雑な作業を行うためにプログラミングを作りこむことができるようになっています。
協働ロボットメーカーの資本金ランキング
上記でご紹介したメーカーの中から、日本企業で公表されている資本金のランキングは以下の通りです。
1位 | 三菱電機株式会社 | 1758億2000万 |
2位 | 川崎重工業株式会社 | 1044億8400万 |
3位 | ファナック株式会社 | 690億円 |
4位 | オムロン株式会社 | 641億円 |
5位 | 株式会社安川電機 | 306億円 |
協働ロボットメーカーの売上高ランキング
上記でご紹介したメーカーの中から、日本企業で公表されている売上高のランキングは以下の通りです。
(※2023年4月に公表されている最新のものを参照しています)
1位 | 三菱電機株式会社 | 3兆5652億3700万 |
2位 | 川崎重工業株式会社 | 1兆5008億7900万 |
3位 | オムロン株式会社 | 7,629億円 |
4位 | ファナック株式会社 | 7,330億800万円 |
5位 | 株式会社安川電機 | 4,791億円 |
協働ロボットの中国メーカー
日本でも、中国メーカーの協働ロボットは注目を集めています。
中国のロボットメーカーは、製造業に力を入れている中国政府の支援によって大きく発展を遂げました。中国国内での需要も高く、生産コストが比較的安いこともあって、国内外の需要に応えて市場を拡大しています。
そんな中国の協働ロボットのメーカーについて、いくつかご紹介します
Ecovacs Robotics
Ecovacs Roboticsは、中国の代表的なテクノロジー企業の一つで、床掃除ロボットのメーカーとして有名です。製品は家庭用のものが多く、業務用のロボットであっても、床掃除や窓掃除のロボットが大半です。
中国だけでなく、日本やアメリカ、ドイツにオフィスを構えており、過去にはMarvel Entertainmentと協業したこともあります。
Pudu Robotics
Pudu Roboticsは、スカイラーク系列店などに導入されている猫型ロボットの「Bellabot」でご存じの方が多いかもしれません。Pudu Roboticsも中国のテクノロジー企業の一つで、前述の配膳ロボット以外にも、配送ロボットや消毒ロボット等があります。
Geek+
Geek+は、自動搬送ロボットで有名なメーカーです。国内の自動搬送ロボットのシェア率では最も高く、2020年には75%以上のシェアを占有しています。大和ハウス工業やNIKEなど、大手物流プレイヤーに相次いで導入されています。
まとめ
協働ロボットを取り扱っているメーカーを紹介しました。メーカーには産業用ロボットをメイン事業としている企業や多くの事業を行っている企業などさまざまあります。
それぞれの企業で培われてきた技術を用いているため、メーカーごとにロボットの特徴が違います。
しかしながら、「どの会社のロボットを購入すればいいかわからない」という方もいるのではないでしょうか。その場合はシステムインテグレータに相談して決めることをおすすめします。