産業用ロボットSIer 300社掲載

2021.04.30

スマートファクトリーの市場規模|日本と世界の両面から解説

仕入れから製造、流通、市場調査に至るまでワンストップでスマート化されたスマートファクトリーは、これからも市場規模を拡大していくと思われます。なぜ市場規模が拡大されると予測できるのか、また、日本と世界の市場規模がどの程度なのか見ていきましょう。

この記事の結論

・スマートファクトリーの市場規模は拡大している
・日本のスマートファクトリーの市場は5G関連分野が特に成長している
・世界全体でのスマートファクトリーの市場規模は2025年には5.5兆円規模になると見られている

スマートファクトリーの市場規模が拡大する理由

サスマートファクトリーの市場規模は世界的に拡大しています。主な5つの理由を紹介します。

  • 生産計画の見直しをスピーディに実施できる
  • 複数の生産拠点を統合管理する必要性
  • 継続する人材不足
  • 通信技術の向上
  • 資源の有効活用、廃棄物の削減

生産計画の見直しをスピーディに実施できる

スマートファクトリーは、原材料の仕入れから市場調査までをワンストップで管理している工場です。そのため、突然の変化(ニーズの拡大・減少)をスピーディに把握でき、製造に反映することができます。

複数の生産拠点を統合管理する必要性

スマートファクトリーは、1つの工場だけでなく、関連する工場もインターネットを用いて統合管理することができます。原材料の仕入れや生産量の無駄を減らし、在庫削減を目指せる管理体制を構築できます。

継続する人材不足

日本は少子化がますます進み、今後も人材不足が続くと予想されています。また、他の先進国も少子化で、人材不足が継続すると見込まれています。また、少子化ではなくても安全な仕事を好む傾向により、製造業への就業を希望する人が減っています。スマートファクトリー化を推進することで人手に頼らない生産体制を築けば、少子化にも対応していくことができるでしょう。

通信技術の向上

スマートファクトリーを実現するためには、高度なインターネット通信技術が必要です。ローカル5Gが普及してきたことで限定された範囲内での超高速通信が可能になっており、スマートファクトリー化を推進するための土壌が整ってきたといえるでしょう。

資源の有効活用、廃棄物の削減

人口爆発や砂漠化により、天然資源や食料を今まで以上に無駄なく使うことが必要とされてきています。また、廃棄にもエネルギーがかかり、不燃ごみの処理も問題になっています。スマートファクトリー化を推進することで資源を有効活用することは必要不可欠なことといえるでしょう。

【スマートファクトリーの市場規模1】日本

日本でもスマートファクトリー化についてのニュースを日々見聞きしますが、スマートファクトリー市場を大々的に調べた調査はまだありません。そこで、IoT市場についての調査、また、スマートファクトリーで注目されている分野と市場規模について解説していきます。

IoT市場は5.8兆円

国内 IoT 市場の市場規模は 2017 年の時点で 5.8 兆円であり、 2022 年には 11.7 兆円に達すると予測されています。今後ますます成長する分野と見ることができるでしょう。

5G関連分野の成長が著しい

スマートファクトリー化に欠かせない高速通信の5Gとは、超高速モバイルブロードバンドに加え、高信頼・低遅延、多数同時接続などの特徴を持つ通信システムのことです。とりわけ5G関連分野の以下の6つの市場の成長が見込まれており、スマートファクトリー化の促進が予測されています。

  • 携帯電話端末市場
  • 携帯回線市場
  • スポーテック市場
  • ヘルステック市場
  • ファクトリーIoT市場
  • スマートシティプラットフォーム市場

携帯電話端末市場

2025年度までには、携帯電話端末の年間総販売台数の56%にあたる約2,000万台が5G対応となると見込まれています。また、契約回線ベースで換算すると全体の回線の46%が5Gになると予測されています。

携帯回線市場

携帯端末の販売数が増加すると回線も増えます。ただし、対応端末が十分にあっても5G対応エリアの拡大が遅いと端末市場・回線市場ともに予想通りの拡大が見られない恐れがあるので、今後も注目していく必要があります。

スポーテック市場

スポーテック市場は、VR(仮想現実)による観戦やマルチカメラによる多視点からの観戦、遠隔地からのバーチャル観戦など、5Gの特徴をわかりやすく訴求できる活用分野が多いため、期待が高まっています。スポーテック関連の日本国内市場は、2025年度に1,550億円規模まで成長すると見られています。例えば、コンサートなどのライブイベント全般に対してもスポーテック技術を応用することが可能と考えられています。

ヘルステック市場

膨れ上がる社会保障費を削減するには、健康寿命を延ばすこと、即ち、病気予防への取り組みが有効とされています。生活者の日常の活動に関する情報やバイタルサインを収集・分析し、生活の質の改善につなげていくヘルステック分野において、5G応用への期待は大きいです。ヘルステックの日本国内市場は、2025年度には2,254億円の規模になると予想されています。

ファクトリーIoT市場

工場内の配線を5Gですべて無線化し、柔軟な配置換えができるようにすること、あるいは、多数のセンサー情報を5Gで収集・分析することにより機械の不具合を事前に察知することをファクトリーIoT市場と呼ぶことがあります。5Gのカバー範囲が全国に広がるには時間を要しますが、倉庫内や工場内、工事現場などの限られた部分を包括することは容易なため、5G活用分野の中でも特に早期に成長すると見られています。ファクトリーIoT市場の日本国内市場は、2025年度には1兆1,000億円を超える規模になると予測されています。

スマートシティプラットフォーム市場

建物間を横断してサービスを提供する技術やインフラ管理を、スマートシティプラットフォーム市場と呼ぶことがあります。クラウドを通したソフトウェア・サービスや関連機器等もスマートシティプラットフォーム市場に含まれます。5Gの普及により、収集可能な情報の量と質の両面が拡大し、スマートシティプラットフォームの市場全体では、2025年度には1兆2,300億円になると予想されています。

【スマートファクトリーの市場規模2】世界

日本だけでなく世界のスマートファクトリーの市場規模も拡大傾向にあります。2025年までの中期的な予測について解説します。

2025年には5.5兆円規模に拡大

富士経済の調査によると、2025年のスマートファクトリー関連システム・製品の世界市場は、19年と比較して2.4倍の5兆5446億円に拡大すると試算されています。2019年は米中貿易摩擦の影響から一部で設備投資を控える動きがありましたが、その後はIoTニーズの高まりから市場拡大を維持しています。

ローカル5Gの急成長

データ主体のものづくりを実現するための基本ツールとなるPDMとPLMの市場は、20年には2,100億円でしたが25年には3,500億円まで拡大すると見られています。日本でも拡大傾向のローカル5GやプライベートLTE、BtoB向けのスマートグラスを中心に大幅に拡大すると予想されています。

特にローカル5Gは、20年は124億円市場ですが25年には4,500億円に急激に成長すると考えられています。また、ローカル5Gを活用したスマートファクトリーに欠かせない製造業向けのクラウドサービスに関しても、20年は2,520億円ですが25年には8,800億円まで増加すると予測されています。

年10%弱の成長率を維持

スマートファクトリー市場は、2027年まで年10%弱の急激な成長を健全な状態で維持すると見られています。特にアジア太平洋や北アメリカ、ヨーロッパ、ラテンアメリカなどの人口が集中している地域では、高い成長率を今後も続けていくでしょう。とりわけ北米は、リアルタイムデータ分析や予知保全の分野で、世界をリードする地域となると見られています。

まとめ

スマートファクトリーの市場規模は日本だけでなく世界でも拡大しています。また、今後も健全な状態を保ちつつ拡大が続くと考えられています。とりわけ製造業ではスマートファクトリー化が進んでいますので、国内外で競争力を確保するためにもぜひ導入を検討してみましょう。

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